南ア 塩見岳~北岳縦走 2011.07.16-19 その3

ユキヲ…

2011年07月30日 16:08

2011.07.16-19 3泊4日で、南アルプス北部の山々を縦走してきました。



鳥倉登山口から塩見岳までのレポはこちら。
南ア 塩見~北岳 縦走 2011.07.16-19 その1

塩見岳から熊ノ平小屋までのレポはこちら。
南ア 塩見~北岳 縦走 2011.07.16-19 その2


縦走3日目早朝…


熊ノ平小屋前のテラスから、真っ赤な朝焼けが見えた。
綺麗だった。実に見事な朝焼けだった。


普段なら素直に感慨に浸れるのだが、この日はちょっと違った。


台風6号の進路が気になっていたからだ。
この美しい朝焼けでさえ、天候が荒れる前触れにさえ思えてしまう。。。


朝のニュースを山小屋で見る…
九州がすっぽり入るくらいでかい。勢力も強いようだ。
動きは遅く、甲府付近は翌日午後から雨が降り出すだろうとのこと。
その日の朝の天気予報はそう伝えた。


残りの縦走スケジュールはこんな感じだった。

3日目
熊ノ平小屋出発。間ノ岳中腹を巻いて、農鳥小屋付近でザックをデポして、農鳥岳、西農鳥岳をピストン。
再びザックを担ぎ間ノ岳を登り、北岳山荘に宿泊。

4日目最終日
北岳山荘を出発。北岳に登り、広河原へ昼過ぎに下山。

天気予報通りなら、ぎりぎり雨を避けて下山出来る。



とは言え…
7〜8月の台風は、迷走することが多く、予想しない進路を取ることもままある。
もし半日雨が早まれば、明日の朝は、雨が降りしきる中北岳山頂前後の石稜部分を通過しなければならなくなる。

雨だけならいい。風まで強まったらどうする?
足元が雨で不安定な状況で、稜線上を吹き荒れる突風に身体が晒されるのは最悪だ。
だいたい山では、稜線上が一番風が強いのだ。。。


もちろん…
雨さえ降らない可能性もある。
むしろ、今朝の天気予報では、多少の雨を降らすだけで、遠ざかるような進路だ。

農鳥岳からのパノラマビューは、きっと素晴らしいに違いない。。。
ご馳走を前にして、悩む。



どうする?

農鳥岳ピストンを諦めれば、時間的に今日中の下山は可能だ…
これがセーフティーファーストだろう。

ちなみに引き返す案はなし。
引き返す方がずっと遠くて時間がかかる位置まで来ている。。。



考えたあげく…

結局、農鳥、西農鳥には登ることにした。
そしてやはり当初通り間ノ岳も登り、北岳山荘に向かう。


ただし、そこから先の計画は変更した。
北岳山荘には留まらず、そのまま北岳も今日中に登り、山頂を越え北岳肩ノ小屋に泊まろう。

仮に翌朝から風雨が強くなったとしても、
肩ノ小屋からなら、小太郎尾根分岐までの稜線部分の距離は短いし、足を滑らせそうな石稜はない。
小太郎尾根分岐からは稜線を離れ、樹林帯に入るから、風をもろに受けることはない。
午前中の早い時間には、広河原へ降りられるはずだ。

おし。多分この案で行けるはず!…



そんな感じで、今日も歩き出した。

まずは三国平のある、間ノ岳方面へ向かう。

熊ノ平小屋からしばらく歩くと、樹林帯を抜け、広々としたハイマツの美しい尾根へ出た。

昨日までと違って、これから先、ずっと森林限界より上を縦走することになる。
今日の縦走路は、日本最高所の縦走路だ。


昨日登った塩見岳と、延々と歩いた仙塩尾根が連なっていた。
塩見岳は、もうかなり遠くに見える。


稜線をはさんで、左前方には、甲斐駒ヶ岳と仙丈ヶ岳…


そして…、右前方には、本日最初のターゲット、農鳥岳だ。


三国平からそのまま尾根筋を直進すると三峰岳、間ノ岳だがそちらには行かず、
そこから右に折れ、間ノ岳中腹の岩礫帯を巻いて農鳥小屋方面へ向かう。ハイマツを横切っている巻道が見える。



荒涼とした岩礫帯だが、足元にはチングルマやイワカガミの可憐な花が、あちこちに咲いている。
 

頭上を見上げると、稜線上を間ノ岳に向かうハイカーたちが豆粒のように見えた。


眼下には、間ノ岳と農鳥岳がなすカール。大井川の最源流部だ。


ああー。気持ちいいーー!…


どわっ…。巻道の最後は、結構な傾斜だった。。。


巻道は、農鳥小屋手間の稜線上に出た。

正面に農鳥岳がドンと。


背後には、間ノ岳がドンと。


ここで、荷物はデポ。水とカメラだけ持って、ここから農鳥岳をピストン(往復)する。

2つの3,000m峰に挟まれた、約3kmの稜線を農鳥岳に向かって進む。


農鳥小屋まで行って、間ノ岳を振り返る。


更に登って、間ノ岳を振り返る。あっという間に小屋が小さくなる。


更に高度を上げるたびに、鳳凰三山!…、八ヶ岳!…、北岳!…と
次々に山が、間ノ岳の裾から姿を現し、パノラマ感が増していく。


頂上付近になると、道がいったんフラットになり、トレイルの両脇にお花畑が現れる。
 

西農鳥岳、農鳥岳の山頂は、細長い稜線といった趣きだ。遠くに富士山が見えている。

トレイルは稜線上の右をやや巻くように若干のアップダウンを繰り返す。

ここには西農鳥岳(3,051m)と農鳥岳(3,026m)の2つの山頂がある。
ピストンの折り返し地点となる農鳥岳へ先に進んだ。



農鳥岳の山頂も素晴らしかった。


北岳、間ノ岳、西農鳥岳。3つの3,000m峰が横並び…。


昨日歩いた、塩見岳、仙塩尾根もはっきり見える。

振り返った時、自分の来たトレイルに親しみを覚える。


この縦走路は素晴らしく楽しい。


農鳥岳山頂で、軽く食べ物を口に入れ、一服。。。眺望を堪能した。




西農鳥岳は、農鳥岳からの戻りに寄った。巻道からちょこっとの登りだ。



さぁ!
南アルプスの盟主。間ノ岳と北岳に向かいますか。


元来た道を戻る。


雨は突然降り出した…
しっとりした霧のような雨だった。


デポしたザックに、ザックカバーをかけていなかったのを思い出した。
そこまで戻るのにまだ1kmほど残っていた。


小走りで、農鳥岳を下山した。
ザックが濡れて重くなるのが嫌だった。
トレッキングパンツが濡れて、肌に張り付きだした。


さっきまでの眺望はなんだったんだ…




南ア 塩見~北岳 縦走 2011.07.16-19 その4  へ続く…


あなたにおススメの記事
関連記事