農鳥小屋近くにザックをデポして、農鳥岳をピストンする帰り道…
ついに雨が降り出した。
まさか、こんなに早く雨が降るなんて思っていなかったので、デポしたザックにザックカバーはしていなかった。
ザックがあまり濡れないうちに、ザックカバーをかけたかったので、農鳥岳から小走りで下山した。
ザックのとこまで到着すると、雨が一度止んだ。
ラッキーなことに、この小休止の間に、ザックカバー、レインウェアを装着。
しかし、間ノ岳に向かい登り始めると、また雨が降り出した。
先程まで雨は霧のようなしっとりした雨だったが、今度は大粒の雨が雨具を叩いた。
20分ほど降ると、また雨は止んだ。
それからは、大粒の雨が降ったり止んだり…
うーん。いかにも台風の影響を受けた雨っぽい。。。
今、考えると前兆はあったのだ。
まず早朝の鮮やか過ぎる朝焼け。。。
うす雲が高い場所にまんべんなくあったから、これだけ朝焼けが映えたのだろう。
そして、富士山山頂、南アルプス南部の塩見岳、荒川三山、赤石岳にかかる傘雲。。。
傘雲がかかると天気が崩れやすいとはよく聞くが、こんだけ傘雲出てたら説得力がある。
やはり、今日中に北岳肩ノ小屋まで出よう。
まさか一日で白根三山を登ることになるとは思ってもみなかった。
間ノ岳を登りながら、先程まで山頂を楽しんでいた農鳥岳を振り返ってみる。
山頂はすでに見えない。野呂川方面の谷間からガスが上がって来ていた。
もう少しで農鳥小屋も白い景色に包み込まれそうだ。
これはこれで、山らしい景色だ。
間ノ岳の山頂方面も白いものが立ち込めてきた。。。
仙塩尾根方面は、かろうじて視界を保っているが。。。
稜線をはさんで、北側が白い景色。南側が晴れといった状態だ。。。
結果的に…
ここからミストハイクに終始する。
農鳥岳方面から間ノ岳へ登るトレイルは、高原植物少な目。荒涼とした趣きだ。
登り始めは、それなりの斜度があり、息があがる。。。
ところが、山頂付近になると、急に傾斜がなだらかになる。
稜線から見える感じと違い、山頂は広くおおらかな様相だ。
山頂をしめす道標は、かなり手前から確認出来た。
間ノ岳、登頂完了!…
山頂北側の雪渓が、去年と同様にそこにあった。。。
そして、今年の間ノ岳山頂からの眺望も白かった。(笑)
まぁ、いい。また来ればいいのさ。そのうち晴れた日もあるだろう。
それに、ミストハイクにはミストハイクの良さがある。
写真ではうまく伝えられないけど、しっとりひんやりした独特の空気感。
潤いに包まれて歩く感じとでもいうか、それも悪くない。。。
湯を沸かし、ラーメンを作り、ドリップコーヒーを淹れる。
コッヘルに、大粒の雨が降り注ぐが、気にもとめない。
身体が暖まる。心底うまい。
身体が本当に欲しがるものを与えると、身体は喜ぶ。
時折り、ガスの切れ間に見える仙塩尾根を眺めながら、暖かいコーヒーを楽しんだ。
そして縦走最後のターゲット北岳へ向かう。
間ノ岳から始めのほうは、尾根沿いの左を巻くように、岩礫地帯を歩く。
中白峰付近では、まだちょっと冬毛の残った雷鳥さんにも会えた。
間ノ岳と北岳を結ぶ稜線は、日本最高所の稜線としても知られるが、花もきれいで種類が多い。
眺望こそ楽しめなかったものの、北岳に近づくにつれ、高山植物が増え、目を楽しませてくれた。
そして…
北岳の頂きを踏んだ。
眺望はガスで冴えなかったが、長くて立派な南アルプスの尾根を歩き通し、5つの3000m峰を登った達成感で気分は高揚していた。
山旅もあとは下山を残すのみか。。。名残惜しい。もっと山を堪能していたい。
北岳肩ノ小屋に泊まり、少し大目に呑んだ。
夜が更けるにつれ、雨、風ともに吹き荒れ、肩ノ小屋の青いトタン屋根を激しく鳴らした。
テン場泊まりの何人かは、テン泊をあきらめ小屋の隅に丸まって寝ていた。
激しい雨で何度か目が覚めた。
翌朝、朝食を早々に済ませ、身支度を整える。
二股経由は大樺沢があるので、念の為沢沿いは避け、樹林帯の白根御池小屋経由で下山することにした。
出発間際、風が小康状態になった。よかった。これで小太郎尾根までの稜線歩きがずっと楽になる。
幸いなことに風も雨も、その後落ち着いていった。おかげで下山は楽だった。
雨で少々足元が滑りやすかったが、普通に気をつければ問題のないレベルだった。
白根御池小屋で小休止。小屋でソフトクリームが売っていたのを見て下界が近いことを感じた。
もうすぐこの山旅が終わるんだなと思った。もちろん、ソフトクリームは食べた。(笑)
肩ノ小屋から広河原まで3時間半くらいで下山した。
広河原につくとゲートのところに山梨県警(山岳警備隊?)の方が何人かいた。
どこから下山して来たか、小屋には何人泊まっていたか聞いて来たので答えた。
そして、夜叉神峠と広河原間の林道で、昨晩の風雨による落石があり、バスが不通になっていることを告げられる。
マジ?帰りの足、ないの?。。。
広河原発甲府行きのバスに乗って帰るつもりだったのだ。
とりあえずバスの発着所へ行くと乗り合いタクシーが一台いた。
落石箇所を道幅ぎりぎり避けて通過してここまで来たらしい。
甲府に行きたい旨を告げた。芦安じゃない甲府だ。
後から下山して来る人で同じ甲府行き希望のハイカーのパーティがいたおかげで、少し待たされただけで乗れた。
後から知ったのだが、同日結局乗り合いタクシーの乗車キャパだけじゃ足りず、
特に奈良田方面は、取り残されたハイカーも多数いたようだ。
私は運よく、ラッシュ前には帰宅出来た。
とても素晴らしい山旅だった。素晴らしいトレイルだった。
今振り返っても、特に塩見岳の眺望を思い出すと顔がにやけてしまうくらい。(笑)
ただ、3日目の判断…
あれが正しかったかは疑問だ。。。
やはり農鳥岳はパスして間ノ岳、北岳をまっすぐ超えてそのまま下山し、3日目で切り上げた方が良かったような気もする。。。
台風の進路がもうちょっと違っていれば、もっと落石の程度がひどくて、乗り合いタクシーにさえ乗れなかったかもしれない。
まだまだ経験が足りないんでしょうね。
そんな訳で、次回は北アルプスへ修行に行ってきます。(笑)
あなたにおススメの記事